鹿島槍ヶ岳/針ノ木岳('22.08)



山名鹿島槍ヶ岳/針ノ木岳
地域北アルプス/長野
標高2889m/2821m
登山日2022年8月10-12日
天候一日目 曇時々晴
二日目 曇のち晴、三日目 曇時々晴
備考展望と花が素晴らしい後立山連峰の縦走コース。
日本100名山/日本200名山

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    ルート

    第1日 柏原新道登山口〜ケルン〜種池山荘〜爺ヶ岳南峰〜爺ヶ岳中峰〜冷乗越〜冷池山荘〜冷池山荘テント場
    第2日 冷池山荘テント場〜布引山〜鹿島槍ヶ岳南峰〜布引山〜冷池山荘テント場〜爺ヶ岳〜種池山荘 〜岩小屋沢岳〜新越山荘
    第3日 新越山荘〜鳴沢岳〜赤沢岳〜スバリ岳〜針ノ木岳〜針ノ木小屋〜針ノ木雪渓〜大沢小屋〜針ノ木登山口

     備考 累積標高差:約3700m コースタイム:第1日 6時間15分、第2日 8時間30分、第3日 8時間30分

    山行記

     ”夏休み、山行く?””いや〜、ちょっとね〜、、”と、妻と次男。受験生の長男を連れだすわけにも いかず一人旅が決定。ソロテント泊用に買ったテントを使いたいのと、せっかく一人なら家族山行では 選ばないルートに行ってみたいなと、3年振りの北アルプスへGo!

    第0日

     会社の有休消化ノルマであと2日休まないとならないというのを口実に、山の日前の2日間を休みに。 どこに行こうかとアルプス事情を検索・・テント場も山小屋も予約必要なとことが多く、調べ始めた 7月初めではすでに雲ノ平のテント場は満員でした。そもそもテン泊装備で歩くのもアルプスも3年振りで、 長距離歩く自信もないのですが。予約不要なテント場もあるのですが、満員になるとお断りになるものの、 山小屋も収容人数を絞っているのでいざとなったら助けてもらうというのも厳しい感じ。そんなコロナ対策 継続中の夏山ですが、鹿島槍ヶ岳周辺はテント場も山小屋も予約可能ではありませんか。そういえば以前、 お盆空いているというブログ記事を見たのを思い出し、ルートも歩きやすそうなので冷池山荘のテント場に 行くことに。1泊2日で往復出来ちゃうな、2泊のんびりするか?と、地図を眺めていたら、針ノ木岳回ったら 扇沢に戻れそうだな、針ノ木サーキットっていうのか〜、新越山荘も予約できるな〜、一人だしな〜と、 だんだん歩きたくなってしまい、2泊3日の鹿島槍+針ノ木サーキット山行になったのでありました。

     当初は8/9-11で歩くつもりで予約していたのが、8日夜の移動が仕事の都合で厳しくなり、8/10-12に変更。 8/11出発までずれると満員御礼で予約変更できない感じでした。8/9は移動だけになったので、午前中準備して 午後から登山口を目指して高速道路を走ります。途中の伊勢崎や高崎あたりの温度計は39度で猛暑襲来して ました。山では風呂に入れないからなとまずは大町温泉郷の薬師の湯でひとっぷろ。最初、近くの上原の湯に 行ったのですが、定休日でした。温泉の後、食料の買い出しと夕食場所を探してウロウロ・・駅周辺の食事処が 見つからず、国道147号線を南下していってお店を発見したのでありました。ラーメンと餃子で腹ごしらえして、 扇沢の市営駐車場へ。21時前には着いてさて寝るかと思ったところで、そういえば山小屋のHPに体温計を 持参し、出発時や受付前に検温するようにと書いてあったなと思いだし、体温計を忘れてきたことに気付いた のでありました。この時間に体温計売ってるとこあるんだろうかと焦りましたが、とりあえず引き返して コンビニへ。2件目で一つだけ売っているのをGetして駐車場に戻り、22時頃に就寝。

    第1日

     朝4時にアラームを掛けていたものの、まだ暗かったので二度寝。4時半頃に起床。暑くもなくて良かったの ですが、何となく寝付けず・・遠足前のこども状態??扇沢の駅まで歩いてトイレを使わせてもらいました。 扇沢駅を訪れるのは13年振り、子供たち小さかったな。朝ご飯を食べたりして、すっかり明るくなった5時20分に 出発。荷物を減らしたもののいつもの40Lザックには入りきらず、久し振りの60Lザックが重い(でも15s くらい?)。。柏原新道の登山口で登山届を出して登り始めますが、なだらかかつ歩きやすいように 整備が行き届いている道でした。八見ベンチあたりからちらちらと展望が出始め、ケルンからは針ノ木 サーキットの山並みや種池山荘が見え、既に痛くなってきた肩休めで小休止。その後も少しずつ標高を 上げていき、3時間ほど歩いてレコでよく見る雪渓を横切る地点に到着・・歩く場所は既に雪が無くなり、 普通のトラバースになっていました。このあたりから花も多くみられるのを眺めながら歩いていると、 その辺で熊が出たらしいよとすれ違う方から情報が・・。こんな人歩いてるのに?、と思ったのですが、 ヤマレコでも実際この日の朝に熊を見かけられた方の写真載っていたし、人慣れしてしまっている熊が いるようですね。会わなくてよかった。。。

     そんなこんなで3時間半ほど歩いて9時前に種池山荘に到着。登山口からの標高差が1100mほどあるんですが、 アップダウンも急登もない登りで、想像していたより快調に登れました。途中登山道を整備されているような 方たちもいらしたのですが、ありがたいですねえ。種池山荘で少し休憩してから冷池山荘を目指して出発。 種池山荘横のお花畑が今回歩いたルートの中では一番のお花スポット、チングルマの群落をはじめとする 花々が咲き乱れ、正面には蓮華岳や針ノ木岳と、アルプスの雰囲気満載のいいところでした。正面に見える 爺ヶ岳への道もかっこいい。曇り空で展望がきくところとそうでない方向とありましたが、種池山荘到着から 針ノ木小屋に至るまで、ずっと2400m以上の稜線歩きになっているコース、雲がかかっていなければどこでも いい景色が眺められるいいところでした。一方で果てしなく続くアップダウンにだんだんやられたのですが、 まだ元気な初日、45分ほどで初ピークの爺ヶ岳南峰に息を切らせつつ到着。奥に中峰、北峰、さらに先に 冷池山荘と続く道・・荷物が重い時の下りが苦手というか、嫌いというかなので、下るのか〜と思いつつ 戻ってくるときは巻いちゃうだろうなと思って中峰のピークへ。南峰からは15分ほどで到着。雲がかかっていて 鹿島槍ヶ岳も、立山&剱も見えませんでしたが、晴れていれば360度の大展望が楽しめそうなところでした。

     爺ヶ岳中峰から約1時間歩いて冷池山荘へ。冷乗越から先の登り返しでも息が切れましたが、6時間の道のりを 何とか辿り着きました。ベンチで体温測定、問題なく受付へ。小屋の中はマスク着用必須でアルコール消毒液が お出迎えと下界と変わらないコロナ対策。テントの受付番号は7番、早速爺ヶ岳のバッチを購入してテント場へ。 本日最後の登りを歩くと開けたテント場に到着。全体的に傾斜地が多いテント場ですが、きれいに整地された 場所に設営することができ、テントの入り口を開けると種池山荘が見える稜線はもちろん、立山&剱まで 見えてしまう素晴らしいロケーション、テント担いできた甲斐がありますねえ。テントの初張りに少し 手こずりつつ一晩の宿が完成したのち、ご飯を食べたり冷池山荘に行ってジュースを買ったり、本を読んだり。 キャンプ場の難点はトイレが冷池山荘にまで行かないとならず、往復15分ほどかかってしまうことで、 滞在中は到着日に2往復、翌日は朝に1往復。ただ、冷池山荘のトイレは臭いもない水洗トイレで快適でした。 同じ系列の種池山荘や新越山荘はぽっとん式で同系列でもトイレ事情は違うようです。17時頃に夕食。 アルファ化米の赤飯にサバの味噌煮、フリーズドライの豚汁という手抜きセット。お湯沸かすだけで楽ちん でした。家族がいると料理する気も起きるのですが、一人だとね。。夕方、雲が上がり、立山や剱岳にかかって いた雲も取れて全体を見せてくれました。日暮れ前にようやく鹿島槍ヶ岳も姿を見せてくれ、満足し就寝 しました。

    第2日

     翌朝は4時過ぎに起床。まだ暗い中、まずは山荘までトイレのため往復。夜の間、テントが風でバタバタ音を 立てていましたが、朝はそれほど風もなく穏やか。あまり寒くもない感じ。そのせいか結露もあまりなかった です。サイトに戻り、4時半過ぎに鹿島槍ヶ岳に向かって出発。日の出前で、東側の雲海がだんだん明るく なるのを見ながら進みます。西側には立山&剱岳、鹿島槍の山頂が雲の中なのが気がかりながら、ぜいたくな 稜線歩きです。雲でご来光は拝めませんでしたが、日の出時間も過ぎた布引山でエネルギー補給して山頂へ。 山頂直下で雨がパラパラ落ち始め、6時過ぎに到着した山頂は真っ白でございました。。雨が強くなり、 カッパを着こみつつアンパン食べて待つことしばし、一瞬ガスが晴れて遠くに南アルプス〜富士山〜八ヶ岳が 見えたり、ちらっと立山&剱が見えたり、下界の街並みが見えたり。他の方としばらく山頂にいましたが、 30分ほどいるとだんだん寒くなってきたこともあり、下山開始。雲の下になると展望復活、しばらくすると 青空も出てきて夏山感満載、花や雲が晴れた鹿島槍ヶ岳も見ながらなの稜線歩き、荷物がないこともあって、 今回の山行で一番楽しく歩けた区間だったように思います。

     8時前にテント場に戻り撤収作業。雨を払う必要はありましたが、結露があまりなく助かりました。 冷池山荘に寄り、Tシャツと山バッチ、水を購入して本日の目的地、新越山荘へ向けて出発・・さっきまでの 軽快さは消え、肩に重さが。。予定通り爺ヶ岳は巻き道を歩くもスピードは上がらず、特に下りをゆっくり 歩いて11時前に種池山荘に到着。山の日で一般的にお盆休みが始まる人が多いせいか、前日に比べてかなり 賑わいが増した種池山荘でした。荷物を置いて、お目当てのピザを買いに売店へ。一日30枚らしいのですが、 無事に注文でき、待つこと15分ほどで焼き立てピザと冷えたポカリスウェットという山の上とは思えない 豪華な昼食タイム。雲がかかって視界が白かったのは残念でしたが、大満足でございました。しっかり エネルギー補給したので先へ進みます。岩小屋沢岳までの道は土の道が多く、足に優しい感じで歩き やすいのですが、疲労感があって足取りは重かったです。種池山荘は真っ白な状態で出発したのですが、 段々晴れてきて、1時間ほどすると近くなった立山&剱岳がよく見えました。岩小屋沢岳の山頂からは 山並みがきれいに見えてくれ、疲れは吹き飛びませんが(笑)、気持ちの良いひと時。岩小屋沢岳から 40分ほど歩いて新越山荘へ。最後の下りがまたつらかったですが、13時40分頃に無事到着。

     ガスで白い山荘前のテーブルで検温後に受付へ。受付後に部屋に案内されると、岩沢小屋岳の山頂で お会いした方がいらっしゃいました。8畳の部屋で3人までしか入れないようにしているため広々していて、 快適でした。荷物を置いてから山荘前のベンチでまったり・・同室の方含め、一緒に休んでいる方が プシュッとやっているのにつられて、自分もビールタイムへ突入。雲もだんだん上がり、針ノ木岳や 蓮華岳を目の前にしながら至福のひと時。どこから歩いてきて、明日どこ歩くのかなど雑談も。 ベンチ前を通過している人、針ノ木サーキットを一日で回る方も多く、恐るべしでした。夕食は17時、 残念ながら黙食&アルコール禁止の夕食ですが、ご飯とお茶をお替りして満腹でした。夕食後、 疲れてそのまま寝てしまい、気付いたら20時ごろですっかり日が沈んでおりました。ちょっと外に出て 月夜に照らされる景色を眺めてから再び就寝。

    第3日

     翌朝、5時から朝食なので4時半頃に起床。曇り空ながら蓮華岳や針ノ木岳がよく見えて、いい感じ。 小盛と言ったつもりが大盛で出て来たご飯のお代わりを食べてエネルギーチャージして5時40分に出発。 新越山荘、人数を絞っていることもあってとても快適でした。小屋の中も清潔な感じで、正面には蓮華岳と 針ノ木岳、喫茶ルームから見える反対側には剱岳と展望の良い場所でもありました。コロナ対策で、 人数制限や黙食のほか、アルコール消毒やサンダルの個人管理も徹底されていて、下界同等以上の管理が されているのではという印象。制限により経営は厳しいようですが、苦労されながらも維持されている おかげで山歩き楽しめることに感謝。冷池山荘、種池山荘、新越山荘が同じグループで経営されているようで、 今回のルートでは各所でお世話になりました。

     さて、3日目もコースタームは約8時間のロングコースです。まずは最初のピーク、鳴沢岳へ。昨日までは 無かった岩場も出てきますが、振り返れば昨日は雲がかかっていた後立山連峰が白馬三山まで見え、 剱岳や針ノ木岳もちらちら見ながら進む気持ちの良い道です。鳴沢岳には40分ほどで到着。360度の大展望、 目の前に続く赤沢岳に続く稜線がかっこよく、奥には薬師岳も。針ノ木岳までそんなに遠く見えないんですが、 アップダウンが続くので大丈夫かと不安を覚えつつ進みます。赤沢岳には7時過ぎに到着。黒部湖が登場し、 その奥には黒部源流の山々も登場、今回来るまで知らない山でしたが、なかなか素晴らしい展望所でした。 10数分休憩してからスバリ岳へ。片側が崩落している狭い道もあり、今回の山行では一番危険度が高い ところだったでしょうか。途中で雨がパラパラ落ちてきて、カッパの上とザックカバーを装着。あまりひどく ならずにすみましたが、スバリ岳への急登は見た目通りでなかなか登りごたえがありました。息を切らせて なんとか登り、1時間40分ほど歩いた9時前にスバリ岳山頂に到着。雲が厚くて展望は今一つでしたが、 針ノ木岳までの稜線と黒部湖あたりは見えていました。しばらく休憩して息を整えてから最後のひと登りへ。 針ノ木岳までも一旦下ってからは急登が待っていて40分ほどの道、新越山荘からは約4時間、なかなか長い 道のりでした。

     針ノ木岳の山頂は広く、引き続き雲が多いものの蓮華岳を正面に見ながら満足バーで栄養補給しつつ再び 休憩。蓮華岳も立派で行きたいところですが、これから約1400mの下りを耐えられるか心配で、とても今回は 行く元気がありません。。10時10分ごろ下山開始。少し下ると雲海に浮かぶ後立山連峰の姿が。晴れていたら もっと色々見えるのでしょうが、これはこれでかっこいいですねぇ。11時前に針ノ木小屋に到着。下山前に お茶を仕入れて恐怖の下りへ。他の山荘ではお茶が売ってなかったのでお茶好きの身にはありがたいなと。 針ノ木小屋から1時間弱下ると針ノ木雪渓に到着。日本三大雪渓ということで持ってきていた軽アイゼンを装着。 クレバスが出来てきているという情報もあるものの、どこ歩いたらいいのかよく分からない。。雪渓で ちょうど一緒になったお二人と一緒に真ん中あたりを下りました。お一人は新越山荘で同室だった方、この日は 同じルートで歩く時間も似ていたので、何度もお会いして声もかけてもらい、励みになりました。 雪渓は20分ほどで終了、三大雪渓でイメージしていたよりあっさり終了。歩きやすかたったので、もっと あったら楽できたのになとも(笑)。雪渓で高齢の方が歩きにくそうにされていて、なかなか降りてこなかった のですが、山荘で一緒だった方が心配してしばらく待たれてました・・私は先に下山させてもらいましたが、、

     雪渓から先は傾斜もゆるくなり、沢でちょっと道が分かりにくいところはあるものの、本来はもっと早く 歩けそうな道でしたが、足の裏が痛くて全くスピードが上がらず。一ヶ所、雪渓で一緒だった女性と道を 間違えて沢を下ってしまい、引き返すこともあり、危なかった。。その後は標高の下がらなさと足の痛さで、 白馬槍温泉から猿倉への下りを思い出しつつ、大沢小屋を経て扇沢まで早く着かないかなと思いながら ヨタヨタ歩き。雪渓の下から2時間以上もかかったので、最後の方は多くの方に抜かれっぱなしでした。。。 ほんと荷物が重い時の下りは苦手です。5年履いているレベルgtxもだいぶソールが滑りやすくなっている感じ、 インソールとともに新しいのが欲しいなと思いつつ、14時半頃に無事下山。下山後、何はともあれ汗を流そうと 再び薬師の湯へ。お湯で疲れも癒してから400kmの道のりを走って郡山へ。思ったより眠くもならずに無事帰還。 3年振りのアルプス、コロナで山小屋も状況が変わっていましたが、3日間満喫させてもらいました。 鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、針ノ木岳と3つの山バッチにTシャツにと、久し振りにグッズもゲットした山歩きでした。 にしても最後の辛さ、これ以上のロングコースは歩ける気がしないなと自分の限界も改めて感じました。。。

    2022.8.21記

    山歩き中のキャンプ場
    2022年8月10,11日 冷池山荘テント場

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