黒部五郎岳('24.07)



山名黒部五郎岳
地域北アルプス/富山・岐阜
標高2840m
登山日2024年7月30-8月2日
天候一日目 雨、二日目 曇のち晴
三、四日目 晴
備考大展望と雄大なカールが魅力の黒部源流部の山。
日本100名山/花の100名山

    ルートへ
    山行記へ
    山の写真へ

    山ある記Topへ



    ルート

    第1日 折立登山口〜青淵三角点〜五光岩ベンチ〜太郎平小屋〜左俣出合〜薬師沢小屋
    第2日 薬師沢小屋〜アラスカ庭園〜奥日本庭園〜雲ノ平山荘〜スイス庭園〜祖父岳分岐〜日本庭園〜 黒部源流碑〜三俣山荘
    第3日 三俣山荘〜三俣蓮華岳巻道分岐〜黒部五郎小舎〜黒部五郎カール〜黒部五郎の肩〜黒部五郎岳山頂〜 黒部五郎の肩〜中俣乗越〜赤木岳〜北ノ俣岳〜太郎山〜太郎平小屋
    第4日 太郎平小屋〜五光岩ベンチ〜青淵三角点〜折立登山口

     備考 累積標高差:約3500m コースタイム:第1日 7時間15分、第2日 6時間40分、第3日 8時間50分、第4日 3時間10分

    山行記

     ”今年、勤続20年で休暇がもらえるのよ。山行かない?””どこ行くの?””雲ノ平?””歩けるかな〜。テントは嫌だよ。” ”山小屋予約したよ。””・・・仕事休めるかな。。”などと妻を説得しながら憧れの地を目指しましたが、 日本最後の秘境と呼ばれる地は遠かったのでありました。

    第0日

     勤続20年で10日ももらえるリフレッシュ休暇に加え、毎年9月までに年5日は消化必要な有給が3日も残っているので、 盆休みに全部つなげると1か月近く休めちゃう勢いだったのですが、休む勇気が足りずに盆休み前に2日だけ出社する 微妙なほぼ3週間の夏休みを取得。梅雨明けの一番天気が良さそうな週を丸々休める貴重な機会を活かすべく、 ルートと予約すべき山小屋の目星を4月から考え始めたものの、出遅れて考え始めた時には雲ノ平山荘の予約が ほぼ埋まってしまってました。4月に三俣山荘の予約をし、GW明けに始まる太郎平小屋グループの予約開始とともに 予約を試みるも、電話予約開始日は妻に電話かけ続けてもらってもつながらず、Web予約開始日になんとか予約完了。 考えていた日程の薬師沢小屋はWeb予約開始日の夜には埋まってて、コロナ禍以降完全予約制&以前のような詰込みを しなくなったアルプスの小屋予約もなかなか大変ですね。。会社の先輩が盆休みに南アルプス南部に行くらしく、 予約事情を聞いたら、小屋が小さいので北アルプス以上に大変そうでした。で、雲ノ平山荘が予約できなかったことも あって、薬師沢小屋〜三俣山荘〜太郎平小屋とつなぐ3泊4日のコースにしたんですが、計画段階から3日目の三俣〜 太郎平小屋の工程の長さに不安はありました。5日間お風呂に入らず歩くよりは4日で頑張った方がいいかなという 妻の声も考慮したんですが、コロナ禍以降仕事が忙しい妻と本格的な山歩きすることも減っていたので、 無事に歩けるといいなと思いながら、荷物をパッキングして郡山を出発。ちなみに、妻も1週間仕事休むためにいろいろ 調整してもらった貴重な機会でした。

     さて、山に連れてくと大変そうな次男に留守番を頼んで、朝9時過ぎに余裕をもって富山に向けて出発。途中、米山SAで 昼食を食べ、立山ICを下りたらまずはモンベルヴィレッジ立山へ。ウォームアップシーツ買いに行ったのですが、 「黒部の山賊」があったので山小屋のお供に購入(結局山行中には読み終わりませんでしたが、歩いた場所が沢山出てきて 面白い本でした)。その後、グリーンパーク吉峰で温泉に入ったり、台湾菜館さんで腹ごしらえしたりして、折立登山口に 19時ごろに到着。で、キャンプ場の水をもらおうと思ったら飲用不可となってるではないですか!そういえば、そんな ブログを読んだこともあったような・・・、でしたが後の祭り。どうしたものかと思ったところで、途中に有峰ハウスが あったことを思い出し、ダメもとで水を分けて頂けないか訪問したら快く水を補給していただけました。20時の通行可能 時間までに折立登山口に戻ることもでき、駐車場でそのまま車中泊。

    第1日

     朝5時頃起床。予報では午前中曇?と期待したのですが、既に雨が降っていて残念。朝食を食べたりしてのんびり準備 し、6時過ぎに出発。妻の新調したレインコートがさっそく出番となったのは良いんだか、悪いんだか(苦笑)。 十三重塔を過ぎて登山道スタート。林の中の広めの登山道を上っていきますが、登山道が沢のように水が流れるところが だんだん増えてきました。青淵三角点に着いたときは雨が小康状態で、パンを食べることもできたんですが、ここから先は 薬師沢小屋までほぼほぼ沢状態、五光岩ベンチにたどり着く前に靴の中まで水が入り靴下も濡れたまま歩くことになりました。 トレッキングシューズの防水性も万能ではないですね。。ちなみに妻の方が浸水は遅く、太郎平小屋の手前で右足だけとの こと。妻のはGORE-TEXに対して、私のは違う素材だったせいなのか、使用状態から破れ等が発生していたのか、何なのだろう。 私の方が使用年数短いし、低山では別の靴使ってて履いてないのでそんなに使ってるわけでもないんですが、、 夏場?ということもあってか、濡れていても足や靴下は温かくて歩くのに特段支障がなかったのは幸いでした。 そんな沢状態の道を雨に打たれながら歩くこと約5時間で太郎平小屋に到着。真っ白で展望はありませんでしたが、 時折出てくる花が数少ない癒しでありました。

     太郎平小屋にある屋根付きベンチに座って妻を待っていると風がすごくなってきて風が当たらないところにいても寒い。 窓から食堂を覗くと中で食事されている方も結構いるようなので、妻が来たところで小屋の中に入れてもらい、 名物の太郎ラーメンを頂きました。雨で冷えた体もスープで温まります。また、食堂利用者も乾燥室を使っていいよと 気前がよく、濡れた靴下屋レインコートを多少なりとも乾かすことができました。1時間ほど休憩してから、雨の中に 足を踏み出し薬師沢小屋を目指して再出発。下りでコースタイムは2hちょっとだったのですが、ただでさえ遅い下りが、 雨で滑る道を慎重に歩くので3hかかりました。渡渉ポイントも雨のせいで何か所超えたかわからないくらいありましたが、 増水して橋の上を超えて川が流れているところもあって、流されないように慎重に歩かないとならないところもありました。 悪天候ですれ違う方も少なかったですが、我々よりご年配のご夫婦とすれ違ったときに、奥様がシーソー状態の木道で 転倒して顔を怪我されていて、気を付けてねと声かけて頂きました。それもあって慎重に歩いてはいたつもりでしたが、 シーソーにはやられなかったものの一度滑ってこけて右足をひねってしまいました。普通に力がかかっている分には 問題ないものの、外側に力がかかると膝の力が抜ける感じなのが下山するまで消えず、ちょっと歩きにくさがありました。 木道は雨降ってなくても滑りやすい場合がありますが、太郎平〜雲ノ平までの木道は滑り止めも結構つけられていて、 ケアされているところも多かったのですが。。

     なんだか開けたところに出たなと思ったところ(後からカペッケヶ原と気付いた)から最後にもう一下りして 15時過ぎに薬師沢小屋に到着。全身濡れネズミ状態でしたが、ここでも受付前に乾燥室に行ってきなと女将さんに 言って頂きまずは乾燥室へ。ハンガーが売り切れ状態で干す場所にも苦労する感じでしたが、山小屋ってありがたいですね。 薬師沢小屋にはテント場が最初から無いですが、雨の日に山小屋ないとつらすぎるなと感じました。受付をして部屋に 行くと、6人用の個室の上段で、3畳のスペースを二人で使うのでスペース的には余裕がありました。ちなみに下段は 我々と同年代と思われるご夫婦で、雨大変でしたねと互いに労をねぎらっておりました。旦那さんは黒部源流域をよく 歩かれているようで、黒部五郎カールは良いよと絶賛されてました。翌日の宿も三俣山荘で同じ予定だったのですが、 悪天候のため翌日太郎平側に引き返されておりました。一息ついてからおやつを食べたり、黒部の山賊を読んだりしている うちに夕食タイム。ここは角煮が名物のようですが、御飯が美味しかったのと、ソバが出るのが山小屋では珍しいんじゃ ないかと。御飯のお替りしつつ、美味しくいただきました。夕食後、消灯の前の19時過ぎには疲れもあって就寝でした。

    第2日

     翌朝、電気がついたのは4時半。熟睡できる感じではなかったですが、ぼちぼち寝た感じ。妻はあまり寝付けず、 寝不足だったとのこと。5時からの朝食を頂きますが、食堂の窓から見える空は雨が上がっていて、時折青空も 見える感じで前日とは違う雰囲気に期待が高まります。前日は飲用不可となっていた談話室の流しを流れる水も 飲用可に変わっていて、水分補給もばっちり。ちなみに、増水すると砂が混じることがあって飲用不可となる ことがあるようですが、基本的には水飲み放題の小屋でした。6時前に小屋を出てまずは薬師沢小屋名物の吊り橋。 事前に知らせていなかった妻は渡る直前に見て、「えっ」っとなってました・・ですよね〜。幅30pほどの鉄板の 両端が開いていて、下がよく見えちゃうのと、鉄板が濡れていて滑りそうなのとで怖いのですが、慎重に歩いて 無事通過。吊り橋と言えば祖谷渓(徳島)のが有名ですが、ほんとに落ちれちゃうだけ祖谷渓のより怖いですね〜。 で、橋を超えたと思ったら梯子が立て続けに出てきて、3つほど超えてから雲ノ平への登りがスタート。 高天原との分岐に「直登」と書かれているだけあって、樹林帯の中の急な岩々の道が延々続きます。岩場が苦手な 妻も頑張って上るんですが、展望もほとんどなく景色が変わらない道を2時間半は歩くことになり、苦行モード でしたね。。途中で石で滑って一度転倒した妻、右手の打ったところがちょっと痣っぽくなってもいました。 特別な危険個所というわけでなくても気が抜けないですね。

     苦労の末に木道が出てきたと思ったら、再び登りがあって2回目の木道でようやく雲ノ平の端っこに到着。 そこから10分ほどでアラスカ庭園へ。急に木がなくなり視界が開けるとともに、高山植物や池塘も現れて別世界です。 緩やかな木道を歩いていると周りを囲む山々が見えてきて急登を歩いてきた甲斐がありますねぇ。見えている山々が どこが何かよく分からず、あれも立派、これも立派とみていたんですが、黒部五郎まで歩いている間にこの辺の 黒部源流域の山々の姿を覚えて、山が同定できるようになりました。やっぱり山は一度歩かないとですね。 さて、雲ノ平中心部へ進み、雲ノ平山荘も見えてきたんですが、10時頃で昼休憩にも微妙な時間なのと、三俣山荘まで 歩くのに時間がかかっていることもあって山荘には寄らずにそのまま先へ。雲ノ平のキャンプ場との分岐まで 着いたところでベンチがあったので、ここで昼休憩。目の前にそびえる水晶岳を見ながら薬師沢小屋のお弁当を 頂きます。お弁当はチマキが3つ・・美味しかったんですが、もう倍は食べれましたね(笑)。ということで 足りないので昨日太郎ラーメンを食べたことで余っていた昼食用のパンをここで食べてエネルギーチャージし 雲ノ平を歩きます。すぐ近くにスイス庭園があり行ってみると赤牛と薬師に挟まれた一面の緑の中を黒部川が 流れ行くさまがすごい山深さを感じるとこでした。高天原温泉、どこにあるの?って感じ。花も咲いてて いいとこでした。

     本線に戻って祖父岳側に回り込んでいくと水晶岳〜祖父岳に続く稜線が目の間にどーんと登場。曇り空でしたが、 絶景続きで休憩しながらのんびり進みます。この辺りは雪解けも遅かったのかこれまですっかり終わっていた チングルマをはじめ、ハクサンイチゲやミヤマキンバイ等いろんな高山植物が斜面を彩っていて、楽しい ところでした。昨日からの歩きと寝不足でお疲れ気味の妻もこのあたりの景色には満足気でございました。 そうこうしているとライチョウも登場・・2羽、仲良く食事してました。祖父岳分岐の到着が12時、もともとの 予定ではここから祖父岳〜ワリモ岳〜鷲羽岳を経由して三俣山荘へと思っていたのですが、時間と体力が怪しいので 黒部源流部を経由するルートへ変更。せっかく来たからと妻も悩んでいたのですが、地図で近そうに見えても 想定より時間がかかっていてアップダウンも侮れないのでまたいつか・・。祖父岳に行かずに回り込むと 日本庭園が現れ、その先の雪田あたりまではなだらかかつ展望は良く花も有でいいところ。鷲羽岳も出てきて やっぱり立派だなと思っていたら正面に槍ヶ岳と三俣山荘も登場。いやはやどこ見ても絵になる景色でした。 で、ここから一旦250mほど黒部源流部まで下らないとならないのですが、ここはなかなか急でした。黒部カールの 淵も急だったけれど、こっちのほうが長くて登り返すこと考えると下りたくない感が強くなるとこでした。 目の前に鷲羽岳を見ながらゆっくり1hほどかけて下ると渡渉ポイント登場。雨の影響は収まってきていた のでしょうが、なかなかの水量でぱっとみは無事に通れるか不安になるとこでした。実際に歩いてみると ロープ1本を頼りにここは無事に通過できましたが、この先にもう一つ渡渉ポイントがあり、妻はそちらで 足を滑らせて片足が水没。乾きかけていた靴が濡れてしまい残念。。そこから三俣山荘まですっかり青空に なった中を登り返して、15時半前に小屋に到着でした。

     晴れているので残念ながら乾燥室は動いておらず、妻の靴は乾燥できず。寝床は2Fの端っこで、2Fは布団二つ ずつビニールカーテンで仕切られていて、ここも一人布団一つ分のスペースは確保されていたので詰込み感なく 快適でした。稜線上なので電波が入るかと思っていたら、周りを山に囲まれた奥地にあるせいか、残念ながら圏外。。 この日の歩きぶりから3日目の工程がかなり心配になったこともあって、山小屋状況を見れないか電波を探して 周りをちょっとウロウロしたんですが、電波が入りそうな雰囲気はゼロでした。ロケーション的には目の前に 鷲羽岳だけでなく槍ヶ岳も見えるいいとこでしたねぇ。夕食は山荘名物のジビエシチューで、こちらも美味しかった のですが、夜喫茶でスライドショーが見れるというので行ってみたら、ケーキセット販売中ではないすか。 山荘に着いたのが昼食営業時間を過ぎていて食べれないと思っていたケーキセットが食べれるということで早速注文。 夕日に染まる山の景色を見ながら食べるケーキセットは最高でした〜。その間に小屋の電話で槍平山荘への コンタクトも試みたんですがつながらず、途中で電波入ったところで見た黒部五郎小舎も太郎平小屋も回復した 天気のおかげで満室だったこともあり、妻との話し合いの結果、朝食を小屋で食べずに早朝から歩くことで、 なるべく歩行時間を稼いで太郎平小屋を目指すことにしたのでありました。ケーキパワーで頑張れるか?と 思いながらこの日は20時過ぎに就寝(小屋の消灯は21時でした)。

    第3日

     翌朝、4時前には準備を始めて4時半頃に山荘を出発。三俣山荘も高地の稜線上にありながら流しの水が飲み放題、 受付時に申し込んでいた朝食をキャンセルするのもあとから応じて頂いたりでここでも助けてもらいました。 夜明け前にだんだんと明るくなる空の下、三俣蓮華岳の巻道を歩いて黒部五郎岳へ向かいます。雪渓が出てきた ところで鷲羽の肩から朝日が昇ってきてとてもきれい。雲一つない青空となり、鷲羽〜水晶から、黒部五郎〜薬師 に至る山々と、目の前に祖父岳から雲ノ平、足元には一面のハイマツや高山植物と気分の良い道でした。 三俣蓮華岳との分岐で三俣山荘のお弁当を広げて朝ご飯・・なんでもないとこですが、目の前に広がる景色で おいしさ倍増かなと。朝ご飯を食べて巻道から尾根道に出ると目の前に黒部五郎岳が現れると同時に、笠ヶ岳や 白山も登場してまた一味違う景色。黒部五郎小舎から三俣側に向かうと思われる方々とすれ違いながら黒部五郎小舎へ 一旦下る・・ここも300mほど下るんですが、アップダウンが続きますね。7時半過ぎに黒部五郎小舎到着。 小屋の前は草原が広がっていてテント場も気持ちよさそうなとこでした。三俣山荘かを出発してから3hが経過し、 内心焦りがずっとありながら歩いてはいたんですが・・・

     黒部五郎小舎でお茶を買ったり、トイレを使わせてもらったりして休憩してから今回の山行の初ピークを目指して 出発。カールコースはカールの淵まではなだらかな登りで歩きやすかったのですが、木の中を歩いているときに 帽子のひさしでよく見えなかった枝に勢いよく頭をぶつけて転倒、転倒したところで石の突起にしたたかに腰を ぶつけ、痛さに思わず絶叫。。しばらくしたら痛いものの普通に歩けたので良かったのですが、こんな山の中で 歩けなくなったら即遭難者になっちゃうので気を付けないとです。その後は山の名前の由来になってるカールに転がる ゴロゴロの石たちや高山植物、かっこいい黒部五郎の山頂部や振り返ると広がる鷲羽〜水晶〜雲ノ平の山々という 絵になる景色の中をテクテク。三俣から黒部五郎までの間が天気も最高だったので一番楽しかったな。妻もこのあたり までは楽しく歩いていた(はず)。10時前からカールの淵の急登を登る。途中で下ってきた方から、意外とすぐだから 頑張って〜と声をかけて頂きながら30分ほどで登ると、北ノ俣岳〜薬師岳に続く山並みがドーンと登場。 とてもきれいなんですが、めっちゃ距離あるな〜って感じでもありました。その後、黒部五郎の肩にザックを 半分置いて11時頃に黒部五郎岳の山頂に到着!まさに360度の大展望、北アルプスの百名山で確認できなかったの 常念岳と焼岳くらいで、あとはちらっとでも見えてた。最初どこが何やら分からなかった山も歩いてるうちに 同定できるようになって楽しいのと、白馬や立山のように歩いたところが分かると妻も感慨深げでございました。

     山頂で三俣山荘で買ったパンを食べつつ大展望を見ながらしばし休憩。証拠写真も撮って下山開始。黒部五郎の 肩に置いていた荷物を回収して太郎平に向けて出発したのが11時40分頃で、ここからもコースタイムが4h以上 あったのですが、コースタイムの1.5倍で歩いたら18時で明るいうちには何とか着くかなと思ってました、この時は。 で、急坂を下ってまずは中俣乗越を目指すのですが、だんだん疲労が溜まってきた妻のペースは上がらず。 携帯の電波は入ったり、切れたりだったので、中俣乗越の手前で太郎平小屋には17時には間に合わず、到着が 遅くなることを一旦連絡し、赤木岳に登り返しながら進むも、中俣乗越から赤木岳までの道のりはコースタイムの 2倍かかるペースまで落ちピンチに。。。なるべく軽くしていた妻のザックも赤木岳の手前から引き受けて、 空荷で歩いてもらうと少しペース回復。痛む足を我慢してもらいながら歩いて北ノ俣岳に到着したのが17時前でした。 ちょうど太郎平小屋から電話がかかってきて、「北ノ俣岳にいるんだと後1hくらいですね〜」と言われたのですが、 ペースが遅くてあと2hはかかると思いますと話したら、「わかりました、夕食準備しておきますね。 お気をつけて〜」とのこと。ご心配頂きありがたい限りでした。17時頃から最後の下りだったのですが、 北ノ俣岳から見えた太郎平小屋の遠いこと、遠いこと。妻の心はほとんど折れてましたが、北ノ俣岳の雲海は きれいだったとのこと。誰もいなくて景色を独占してましたね。

     だんだん日が暮れてきて焦りも増す中、何とか歩いてもらって2時間半ほどかけて太郎平小屋に到着。時間が 遅かったので、我々より後から来る人いないと思っていたのですが、北ノ俣岳からの下りで抜いていった方が 2名いて、お一人の方にはヘッドライトや防寒着があるかや、小屋に着いたら太郎平小屋に常駐してる山岳警備隊に 連絡しようかとか、いろいろ気にかけて頂きました。装備はあるし、小屋には連絡しているのでゆっくり行きますと お話ししながら下ったのではありますが、太郎山から眼前に小屋の明かりが見えた時は嬉しかったですね〜。 山と高原地図でコースタイム8h超えの日程を妻に設定したのは完全に失敗でした。。コースタイムで5〜6h超えると 足が痛くてペースがどうにも維持できなくなることを実感し、コースタイム以上にかかる時間がどんどん増え遭難 一歩手前になってしまったなと。下ってる最中に二度と泊りの山には行かないと言われちゃいましたが、泊りというか 一日当たりの歩行時間・距離の問題で、ごめんよと謝りまくりでございました。。手に荷物持っていたこともあって さすがに写真撮ってる余裕もなかったのですが、夕暮れの山もきれいでした・・無事だったからのんきなこと 言ってられるわけですが。小屋に入ると、お待ちしてましたと温かい言葉をかけて頂き、連絡頂いてたから大丈夫 ですよ、とも。夕食も温めなおして出していただき、御飯もハンバーグも美味しかったのですが、特に味噌汁が 人生一美味しく感じました。小屋の方の対応と夕食の美味しさに妻と感動しながら、夕食後すぐにバタンキューでした。 ほぼ日の出から日の入りまで快晴の中を行動していたので用意していた5L分の水分も空になっていて、最後の方は 妻優先で渡していたので、食料はあっても水分不足でビバークも無理でしたね。いやはや何とか気合で歩いて もらって助かりました。

    第4日

     さすがに疲れて前日よりは寝れたんですが、山小屋の朝は皆さん早くから動かれることもあって熟睡は難しい。 ちなみに太郎平小屋ではカイコ部屋の1Fでここも布団一つ分のスペースは一人ずつ確保されていました。燕山荘に 泊まった時の詰め込み具合は半端なくてとても寝られたものでもなかったですが、予約さえ取れれば山小屋の 寝床事情はハイシーズンでも人間的になってました。予約通りに日程こなさないと泊まるところがなくなるので、 歩きながら調節するのが困難なのはつらい面もあるんですが、テント担いで歩くのもそれはそれで大変な面も あるので、計画が大事だなと改めて思った次第。天候が悪いとキャンセル出るので、調節の余地あるんでしょうが。 で、5時半の朝食前に朝日が見れないかと小屋の前に出てみたんですが、小屋の黒板見ると薬師の方から朝日が 出るのは6時前のようで、山が高いから日の出が遅かったようです。それでも初日には全く見えなかった 薬師や黒部源流域の山並みを眺めてました。黒部五郎や水晶もよく見えるとこだったんですね。

     5時半から朝食を食べ、ここも飲み放題な流しの水で水分補給したりして、6時半頃に太郎平小屋から下山開始。 この日も快晴で、青と緑の高原の中にある木道からスタート。初日は沢になっていたのがウソのような気持ちの良い 道ですね。青淵三角点までは次第に木が多くなりながらも展望を楽しみながら2hほどで到着。白山がずっと見えてて、 また行きたくなりました。青淵三角点から折立まではまた妻の足の痛さがひどくなり、ペースダウンしながらも 11時過ぎに下山。青淵三角点からはコースタイムの2倍近くかかったように思いますが、時間が早いので気は楽でした。 私も足が痛くて最後の方はよたよた歩いてて、針ノ木岳からの下りや北岳からの下りを思い出しちゃいました。 下りの負荷に足の裏が耐えられなくてペースダウンしちゃうんですが、歩いてたら足の裏も鍛えられるもの なんですかね。。年に1度もハードワークしないので鍛えられることもないのですが、、車に戻ってから 前日炎天下にいすぎたせいで日焼けが痛いので薬局に寄ってから温泉へ。腕がヒリヒリして浴槽に入れられ ませんでしたが、4日振りのお風呂はやっぱり気持ちいい。温泉はモンベルビレッジ立山の隣にある、 「舟橋立山天然温泉 湯めごこち」に行ったので、入浴後に昼食も食べたらまたモンベルショップへ。二度と 歩かないと言っていた妻のグローブ(初日に使おうとしたら経年劣化でボロボロになってた、、)を新調し、 山行中に紛失してしまった私のヘッドライトも補充したのでありました。

     もとの予定ではこの日郡山に戻る予定だったのですが、疲れたのと日曜日まで妻も休みだったので、 富山でもう一日過ごすことにし、急遽予約したアパホテルステイ富山へ。アパホテル、どこも大浴場が あるものだと思い込んで予約したのですが、残念ながらここはサウナしかないことに到着してから気付いたのが 間抜けでしたがきれいで広々した部屋でした。夕食にやきとり大吉まで歩いて行って打ち上げ。山行中、 なんだかんだで全くビール飲まなかったので、ビールが美味かったですね〜。ホテルから徒歩15分くらいあって、 歩ける?という話を妻としながら行きましたが、平地のアスファルトは普通でした。スマホにあるGoogle Fitの アプリ、山だと歩くスピードが遅いので運動強度が弱いと判定されて歩数カウントされても運動強度の数値が 全く上がらなかったりするんですが、平地の散歩ではカウントされるんで、実際の運動強度との差にガッカリ。 山の大変さを分かってほしいと思っちゃいます。

    第5日

     おまけの日、朝4時頃から妻が男子バレーの五輪の試合を見始めて、山にいるのと同じ時間に起床。アメリカに あっさり?負けちゃいましたが、1セット取ったことでぎりぎり決勝トーナメントに進んだという試合でした。 男子バレーと男子フィギアスケートが始まるとテレビのchが固定される我が家。その後、朝食バイキングで 腹ごしらえし、お土産探しを兼ねて雨晴海岸へ。海越しに見える立山連峰を楽しみに行ったのですが、霞が 掛かっている感じなのと、山の上には雲がかかってそうなのとで残念ながら立山連峰はほとんどわからず。 いい時期は冬場なんでしょうね。海岸沿いを散歩し、お土産を買ってから郡山へ。途中、新潟の石井スポーツに 寄って、妻のザックを新調。もうちょっと優しい日程でまた歩かない??そもそも妻の方が休みが少ないので、 歩くタイミングが難しいんですが、北アルプスの景色は素晴らしかったんじゃないかなということで。。 初日の雨や3日目の行動時間の長さは大変でしたが、THE 北アルプスという景色を満喫できた山行でした。 鷲羽・水晶の頂もいつの日か踏みに行きたいものです。これじゃ全然懲りてないみたいですが、計画のとこは 反省してるので、しばらく(?)はこれまで以上に余裕を持った日程にしそう。そして、山小屋をはじめ、 道中フォローいただいた方々、ありがとうございました。下山後読み終えた「黒部の山賊」の時代ではとても 黒部源流部の景色を見ることはできなかったなと思った次第。

    2024.8.12記

山ある記Topへ
Topへ