飯豊山('18.07)



山名飯豊山
地域磐梯朝日国立公園/福島・新潟・山形
標高2105m
登山日2018年7月14-16日
天候一日目 曇のち晴、二日目 晴
三日目 曇
備考東北アルプスの異名を持つ雄大な山。花も多く咲く。
日本100名山

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    ルート

    第1日 秡川駐車場〜秡川山荘〜十森の水場〜松平峠〜疣岩分岐〜疣岩山〜三国小屋
    第2日 三国小屋〜種時山〜切合避難小屋〜草履塚〜御秘所〜本山小屋〜飯豊山〜本山小屋〜御秘所 〜草履塚〜切合避難小屋〜種時山〜三国小屋
    第3日 三国小屋〜疣岩山〜疣岩分岐〜松平峠〜十森の水場〜秡川山荘〜秡川駐車場


     備考 累積標高差:約2050m コースタイム:第1日 4時間30分、第2日 7時間50分、第3日 3時間30分

    山行記

     “海の日は飯豊に行こうよ。”“とうとうですか?”“福島にいるんだから一度は行かないとねえ” “行けるかな〜。”“燧ケ岳から5年、成長したかな〜。”

    第1日

     約20年前、友人と東北の山を歩いていた頃に知った飯豊山。大朝日岳と共に行ってみたいと思いつつ、 なかなか敷居が高くて訪れることはありませんでした。車もお金もない学生にとって、登山口に行くのも、 避難小屋に泊まって歩く装備を準備するのも敷居が高い遥かな山でした。時は流れて福島に住むようになり、 家族で山歩きをするようになっても歩く距離が長い飯豊山は敷居が高いままでした。福島にいるのに東北一と 言われるお山に行かないわけにはいかないと、ようやく訪問することに。ヤマレコだと日帰りの方も多い ですが我が家の脚力では2泊3日が必須、去年の白馬三山でも荷物が重いと辛さが身に染みたので、 なるべく軽量化と楽に歩くため、弥平四郎登山口から三国小屋で2泊、中日は身軽に歩くプランとなりました。 荷物は私が13〜4s、嫁さん11〜12s、ユン8s、リョン6sぐらいで計40s弱くらいだったでしょうか。 三国小屋に水場が無いので水7L+飲み物4Lの11sを担いだ割には軽量化したんじゃないかと。テントがない だけでなく、白馬の計55sに懲りてなるだけ荷物を減らした成果かなと。

     さて、土曜日の朝6時に出発。コンビニで朝、昼、2日目の昼の三食分の食料を買い込んで登山口へ向かいます。 西会津ICを経て弥平四郎へ。4kmの林道が長く感じましたが対向車がなく無事に到着。9時前に登山口の駐車場に 着きましたが既に満車でした。出発の準備をして新長坂ルートへ。尾根に先に出る新ルートもあるのですが、 水場がないのとヤマレコで熊の気配があったというレポを見たので新長坂ルートへ。一旦下って川を渡って から登り始めます。すぐに秡川山荘が現れます。廃墟感がありますが、山荘横の水場は水が出てました。 出だしなので給水することなく登山道を進みます。倒木が有ったり、若干傾斜があって滑りやすい感じのところ があったり、時折ロープが出てきたり。登山口で24℃あったので、樹林帯で日が当たらないのは幸い。 疣岩山まで標高差約1000m分、ほぼ登りっぱなしの道をゆっくり進みます。1時間半ほどはまずまず順調だったの ですが、リョンの歩きたくない病が発症し昼食をはさんで1時間近く停滞。。こんなところに連れてこられて 無理やり歩かされてと、しばし動かずでした。歩き出すのを待ちながら、これが家族4人での最後の山歩きに なるかもしれないなあと思ったのでありました。

     不機嫌ながらなんとか歩き出したリョンと先に進んでいたユンと嫁さんを追いかけます。十森の水場で空に なったペットボトルに給水するも、沢みたいな感じで看板もないため、合流した時予想通り嫁さんとユンは 水場に気付かず給水できず。地図の水場が分からず給水できないことがちょくちょくあるので、家から多めに 水を担いでいた甲斐はありました。標高1300mくらいの松平峠を過ぎると視界が開けてきましたが、周囲の山には 雲がかかっていて展望は今一つ。まあ、晴れてたら暑くて水不足に陥りそうでしたが。。テンション落ちたり 持ち直したりのリョンと疣岩山分岐前のザレたところも有る急登をえっちらほっちら。なるべく軽くしたザック でも肩が痛くなってきたころにようやく到着でした。分岐から疣岩山を経て三国岳まではアップダウンがあるものの 急登は無い尾根道で歩きやすい。疣岩山からはユンとリョンにすっかり置いていかれましたが、15時過ぎに 三国小屋に到着でした。コースタイム大幅超過の6時間の道のり・・・リョンが何とか歩いてくれたことだけでも 御の字でしょうか。。ちなみに最初に着いたユン、一緒に歩かないと危ないよと三国小屋の小屋番さんに注意 されていたようです。疣岩山から三国岳の稜線歩きは道も歩きやすくて大丈夫かなと思ってましたが、まあ そうですね。

     避難小屋、夏場は管理人さんが常駐されているとは聞いていましたが、避難小屋なので何もないのかと 思っていたら意外といろいろあり、ビールにジュース、レトルトカレーに水(2L/1000円)、寝袋の貸し出しなど。 避難小屋は大賑わいで、管理人さんが数年前の5連休だったシルバーウィーク以来とおっしゃってました。 我々は2Fの角に案内され4人分のスペースを確保。その後1F、2Fともに満員御礼となってました。 小屋の中は暑いので小屋の外の日陰で涼みながらまったり。トンボがたくさん飛んでいるおかげか虫もおらず 快適でした。17時を回ったあたりからぼちぼち夕食の準備を始めて焼肉、ご飯、キムチ鍋と食べました。 夕暮れの吾妻山〜磐梯山までの山並みや、だんだん明かりの灯りだす会津平野を見ながらの夕食、贅沢ですねえ。 振り返れば赤く染まる飯豊山から大日岳に続く飯豊の主稜線、リョンも山での食事は好きなので楽しそうで いい時間でした。その後満天の星空を眺めて21時ごろ就寝しました。

    第2日

     翌朝、4時過ぎに小屋の外に出て日の出を待つが湧き上がってくる雲に隠れて残念ながら御来光は見えずでした。 6時前に朝ご飯を食べ、6時半頃三国小屋を出発して飯豊本山を目指します。12時過ぎに一度目が覚めてから 寝付けなかったので寝不足なのが心配ですが、早朝あった雲もすっかり晴れて真っ青な空が広がり、稜線歩きの 期待膨らむスタートです。荷物も大幅に軽くなったので家族も明るい表情。まずは切合小屋へ向けて歩くのですが、 出だしから雲海に浮かぶ朝日連峰に、足元には高山植物と素晴らしい登山道。種時山の手前で飯豊本山も現れ、 道はなだらかと最高の気分でございました(笑)。種時山と切合小屋の間にある雪渓からは庭園風の景色も広がり 幸せ〜。1時間20分ほどで切合小屋に到着。荷物が軽いと足取りも快調。よくレポなどで見る水場でしっかり 水分補給。小屋の管理人さんが引いてくれているらしいですが、登山道にある豊富な水場、とてもありがたいですね。 切合小屋まで歩いてテント泊にも憧れたのですが、装備と歩く距離考えると三国岳で正解かな。。

     しばし休憩してから本山小屋へ。雪渓を歩いたり、お花畑を眺めたり。飯豊山が花の100名山でないのが不思議。 姥権現に出ると風が吹き抜けて涼しくなり、陽射しがすごくて暑いのを緩和してくれました。急に風が出てきて 不思議な感じですが、ずっと西から東に風が吹いているようで、稜線の西側が開けると風が出てくるようです。 鎖場の御秘所を超え、最後の苦しい登りを歩いて10時頃に本山小屋に到着。最後の登り、ミネウスユキソウを はじめとした高山植物が多数咲いてました。ちなみに終始先を歩くユンに追いつけないままでした。小屋横の 展望の良いスペースでお昼休み・・昨日コンビニで買ったパンを食べました。食べているときに本山小屋の 管理人さんが声をかけてくれてお話ししてたのですが、「Tシャツのイラストを自分で書いたんだよ〜」と。 で、小屋の中に入ってTシャツを眺めているうちに家族4人分のTシャツを買うことになっておりました(笑)。 ついでに山バッチも買い、しっかりお土産をゲット。子供達は買ったばかりのTシャツに着替えてご機嫌。

     ザックを置き空荷で飯豊本山までハイキング。360°の大展望とイイデリンドウやヒメサユリ、ニッコウキスゲが 咲く稜線、東北アルプスとも呼ばれる飯豊山の本領発揮といった景色でした。残雪が残る飯豊の山々がまたきれいで、 いうことないですね。これまで東北の山の1番はずっと鳥海山でしたが、飯豊山が一番になっちゃいましたかねえ。 本山小屋でザックを回収して三国小屋に向けて帰路に着きます。御秘所は下りの方が慎重に歩かないとでした。 切合小屋で水を満タン補給・・全員で11L分、命の水でございます。少し重くなった荷物を担いで三国小屋まで もう一頑張り。暑さと12kmのアップダウンで14時40分頃に三国小屋に戻った時にはだいぶ疲れてました。 嫁さんは最後にバテテ大幅な遅れ・・エネルギー切れだったかも。 前日よりは混雑が緩和された部屋で少し昼寝した後は前日同様に小屋の外で涼みながらまったりタイム。 2日目は生ものが無いので夕食はパスタと魚肉ソーセージ、サバの缶詰でした。この日の方が空が澄んでいたのか きれいに見える磐梯山をはじめとする山々が食事を美味しくしてくれました。隣で食事をしていた方と子供達が 話をしたり、写真を撮ったりしてもらった後、疲れていたので20時頃、早めに就寝しました。

    第3日

     翌朝、再び4時過ぎに小屋の外に出てみるも前日ほど雲が湧き上がっている感じはないものの日の出の方角に 雲がかかっていて、残念ながら御来光は拝めず空が少し赤くなったのが見れたくらいでした。3日間天気に恵まれ ましたが、ご来光見れなかったのだけは少し残念でした。眠いと2日とも外にでも出てこない家族は小屋から ほとんどの人がいなくなってきた頃に起き出し、結局一番最後に小屋を出るといういつもの遅番担当でした。 朝ご飯を食べ、6時50分ごろ管理人さんに挨拶して三国小屋をあとにしました。「次はどこの山行くの?」って 聞かれたんですが、リョンがどうなるかなというのが頭によぎり、いつもと違って「次があるといいんです けどね〜」とだけ話して下山開始。疣岩山で飯豊の主稜線は見納め。大日岳の雄姿を目に焼き付けます。 松平峠までの下りはザレて滑りやすいところも有り、その先も道幅狭いところは注意が必要なところもあって 慎重に歩かないといけないところがありました。白馬鑓温泉からの下山道ほど危険ではないものの、子供が 木の根で滑ったりしてました。根っこは滑りやすいのでなるべく踏まないようにといっても踏んじゃうのね。。

     荷物が増えて重いだの、靴に石が入りやすいだの、紐がほどけやすいだの、何かと文句をブツブツ唱える リョンと共に、約4時間後の10時50分に駐車場に戻りました。ユンは3日目も終始先行、中学生になり体力ついて きたよう・・文化部で日頃鍛えてなくても若さですねえ。最近山好き発言してくれるのでこちらはもう少し 付き合ってくれそうな期待有。男三人が駐車場についてから20分ほど遅れて嫁さん到着、全員無事に下山し、 東北の百名山で最難関といわれる飯豊山を踏破することができました。2日目の晴天下の稜線歩きは素晴らしく、 思い出に残る1座になりました。ちょうど5年前に燧ケ岳に登った時は嫁さんともども翌日ひどい筋肉痛で まともに歩けませんでしたが、今回は疲労はあるもののほとんど筋肉痛はなく5年間の山歩きの成果が多少は あったなと感じました。嫁さんも筋肉痛はひどくなかったようですが、嫁さんとリョンは暑さにやられたのか 翌日体調不良で仕事や学校を休むことになってしまいました。。。下界は連日35度を超す猛暑で山の上も相当 暑かったので、体力吸い取られたよう。これは3年前にドピーカンの立山(+雨飾山)を歩いた後に皆で熱だし時 以来のやられ方だったかなと。その時は太陽を甘く見て日焼け止めをちゃんと塗らず炎症を起こしたように なりましたが、それ以来日焼け止めを使うようになり、今回はやられ方がだいぶ軽減されたのも成長の 一つでしょうか。

    ともかく素晴らしい歩きではありました。下山後、郡山に戻って結婚記念日のお祝いもかねて焼肉屋へ。 しっかり歩いた後の焼き肉は最高でした。今回お世話になった避難小屋はどこも常駐の管理人さんがいて売店も 充実、東北の山には珍しいところだなと思います。それだけシーズンは歩く人も多いんでしょうね。さて、 本山小屋で買ったリョンの赤Tシャツを今後山で見ることはあるでしょうか??

    2018.7.29記

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