常念岳/大天井岳/燕岳('19.08)



山名常念岳/大天井岳/燕岳
地域北アルプス/長野
標高2857m/2922m/2763m
登山日2019年8月11-13日
天候一日目 晴のち曇+夕立
二日目 晴のち曇、三日目 晴
備考槍穂高連峰を眺めながら縦走する定番コース。
日本100名山/日本200名山/日本200名山

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    ルート

    第1日 一ノ沢登山口〜王滝〜笠原沢〜最終水場〜常念小屋〜常念岳〜常念小屋
    第2日 常念小屋〜東天井岳〜大天荘〜大下りノ頭〜蛙岩〜燕山荘〜燕岳〜燕山荘
    第3日 燕山荘〜合戦小屋〜富士見ベンチ〜中房温泉登山口

     備考 累積標高差:約2400m コースタイム:第1日 6時間45分、第2日 8時間5分、第3日 2時間50分

    山行記

     “お盆休みに台風が来てて登れなそう。キャンセルする?”“しょうがないね〜。” “代わりに高妻山の日帰りを来たアルプスに変えていい?”“私達(嫁さんと次男)は?”“出動無で。。”

    第0日

     今年の夏休みは次男の卓球大会と山嫌いを考慮し、前半に高妻山へ長男と二人で登った後、後半に富士山なら 登るという次男も含め家族で日本最高峰を目指す予定でした。しかし、台風8号、9号、10号と立て続けに 発生した台風のうち10号により富士登山予定日は激しい風が予想されるということあえなく中止に。。 しかし高妻山だけで終わるにはもったいない山の日前後の天気予報、平ヶ岳を歩いた長男と二人なら 北アルプスの縦走テント泊も行けちゃう気がする・・・悩むこと30分ほど、急遽行先を変更し2泊3日の 常念〜大天井〜燕の縦走へと切り替わったのでありました。午前中準備して午後に出発、買い出ししてから 東北自動車道に乗り一路安曇野ICを目指します。対向車線は渋滞している個所もありましたが渋滞もなく 順調に走って無事に安曇野のモンベルに到着。次々に丈が短くなる長男のズボン購入と一緒に自分用のズボンも 購入。モンベルショップ、安曇野や大町、くじゅうなど行く先々のアウトドアスポットにできていますが福島に できないのが残念。磐梯吾妻国立公園へのアクセスに優れ、高速道路の交わる郡山市にぜひ(笑)。

     つづいて安曇野しゃくなげの湯隣の温泉公園北口駐車場へ移動。汗を流してから食堂で食事・・と思ったら、 大盛況で調理が追い付かないのですでに受付終了とのこと。残念。。。しょうがないので安曇野市街に夕食処を 探して戻ります。147号線まで戻ってすぐに出てきた「龍門」の看板、駐車場がなんだか賑わっているので 入ってみるとセットメニューが豊富かつボリューム感がすごい。私はカツ丼定食、長男はチャーハン・餃子 セットを頼み待つことしばらく・・・予想通りのボリュームでどんと出てきました。一品ずつも美味しくて お腹も満足、温泉の食堂で食べるより良かったかな〜と思いながら温泉公園の駐車場へ帰還。さて、 明日のタクシーを予約して寝ますかね・・・と、タクシーは登山客の予約でいっぱいのため受付できません、、 という残念なお知らせ。。。今日何度目かの予定変更で急遽一ノ沢の駐車場まで移動することにします。 暗い林道を走って何とか駐車場の空きスペースにたどり着いたのは21時過ぎ。真っ暗な駐車場で車中泊でした。

    第1日

     朝4時半過ぎに起床。長男も何とか起きて5時過ぎに一ノ沢の登山口まで歩いて移動。初日はタクシーで 移動するより早くて良い感じ。10分ほどで登山口に到着、トイレや登山指導所が有り、出発準備をする人達で そこそこの賑わい。トイレはきれいで快適でした。朝食も登山口で食べて6時前にいよいよ出発です。 なんとなくずっと急登なのかと思っていましたが、はじめはなだらかな林の中の道でウォーミングアップ。 山ノ神、古池、大滝と1時間ほどで順調に進みます。テント泊装備でいつもより重い荷物も最小限にしてなるべく 軽くしたので、出だしはそれほど辛くない感じ。北岳や白馬の時の20s級装備がつらすぎ、軽量化を進めた 甲斐がありました。大滝ベンチで休憩していたら下山してきた高校生の集団に遭遇。テント泊っぽかったけれど 時間からして5時には出発しているはずで早いですね。。

     大滝を過ぎてもそれほど急にはならず、ちらちらと見える青空と常念岳を仰ぎ見ながら少しずつ標高を 上げていきます。沢沿いなので水場が有ったり、展望が開けたりと歩きやすい道でした。胸突き八丁からは 本格的な登りとなり、最終水場に第2、第3ベンチとこまめに休憩。最終水場の水は美味しく、飲んだ水の 補給も出来てありがたい所でした。息を切らせつつ、登山開始から4時間ほどで常念乗越に到着。常念小屋が 出てこないなと長男と探しながら歩いていたのですが、常念乗越に着いたとたん飛び込んできたのは槍ヶ岳の 雄姿でした。疲れも吹き飛ぶ、これぞ北アルプスという景色、登って来た甲斐があるというものです。 常念小屋で受付を済ませてテン場を視察・・小屋から離れたサイトの方が広くて平ら、眺望も良好と快適な テン場となっておりました。10時頃でしたがまだサイトはガラガラで良い場所を確保して、荷揚げのヘリを 見ながらのんびり設営でした。ペグも刺しやすいし、石も豊富で良いテン場で、唯一の難点はトイレかな。。 ザ・ぽっとんの簡易トイレ、最近は山でもバイオトイレが増えているのでインパクト大でした。

     設営後しばらくして常念小屋の食堂へお昼ご飯を食べに移動。カレーやうどん、ラーメンなどありましたが 二人とも牛丼を選択。セットのみそ汁が何気に美味しい。のんびり食べてサイトへ戻ると陽射しが暑い。 とてもテントの中には居れず、テントの横でゴロゴロしていたら・・・スマホの液晶が割れている!! 電源は入るもののタッチパネルが壊れて何も操作できず、、、故障により山旅ロガー(GPS)はもちろん、 電話連絡もお天気情報収集も何も出来なくなってしまいました。小石の上に乗った状態でスマホに力をかけて しまったようですが、一番スマホが活躍する場所で何たる失態。。。ショックでしばしテンションダウンで ございました。陽射しは暑いし気は落ち込むしで、雲のかかった常念岳に涼みに行くかと重い腰を上げて出発 しました。

     荷物も少なく楽に山頂に着くかと思いきや、常念岳までの登りはなかなかきつく全然着きません。登り始めて すぐにガスの中に入って涼しくなったのは良かったのですが、山頂が見えないしログも取れないので距離感が 分からずより長く感じる道を歩いて1時間ほどで山頂に到着。予想通り真っ白でしたが、ヤマレコでも見かける 山頂の標識がありました。山頂は狭くて滞在できないため山頂の少し下で長男としり取りしながら涼みます。 1時間半ほど滞在しましたがガスは晴れず、上高地辺りがチラッと見えたくらいでした。しり取りには辛くも 勝ったし、涼しかったし、目的は十分達しましたが。下山は30分ほど、すっかり賑わいの増した常念小屋と テン場に戻り、アイスとビールをゲット。いや〜、スマホの故障も忘れて山の楽しい時間です。続いて夕食 ですが、軽量化でいつも使っているバーナーを持ってこなかったため火種も置いてきてしまい、バーナーに 火が点けられず。。隣の方が水を沸かすタイミングで声をかけて何とか火を分けてもらい湯を沸かしたので ありました。夕食はアルファ米と魚肉ソーセージであっさり。軽量化と共に急に来たので準備不足の影響も。 夕食後、長男は読書。やることの私はぼけ〜。そうこうしているうちに夕立が来て日も落ち早めに就寝でした。

    第2日

     4時過ぎ、まだ暗い時間にテントの外に出ると常念岳に登る人のヘッドライトが道になっていました。 槍や穂高の稜線や山頂にも明かりが灯っていて多くの方が夜明け前から動いている様子が見えました。 特に槍の穂先周辺は明るかったですねえ。しばらく明るくなってくる空と雲海を眺めていました。 この時間も山の至福の時ですが、長男は眠いとテントから出ることなく見逃し三振でございました。 もったいないなと思うものの、人それぞれですかね。。5時ぐらいから撤収作業を始め、6時頃に出発の準備完了。 テントは雨(と結露?)で濡れたままザックの中へ。重量が増しちゃいますねえ。

     さて、常念岳とは反対側へ向かいます。林の中を抜けると大展望!大きな常念岳と槍穂高の山並みが見事です。 雲海に浮かぶ八ヶ岳と富士山も見える場所で朝ご飯・・ほんと、いいですね〜。15分ほど休憩して出発。 横道岳から東天井岳、大天井岳と稜線を歩きます。ピークは巻いて歩きやすいし、展望は素晴らしいし、 天気は良いし、とてもいい時間でした。去年歩いた東北のアルプス飯豊山の快晴を思い出しましたが、 見えてる山々の連なりがさすがに日本のアルプスの方がスケールアップしておりました。常念山脈だと 歩いている感じはそれほど変わらない気もしましたが、ピークを超えるたびに現れる新たな眺望に満足でした。 東天井岳と大天井岳の間では雷鳥の親子にも遭遇。ヒナが沢山いて10羽近くいたと思います。皆丸々と元気そう、 お母さんが周りを見て警戒してそうなのが印象的でした。

     9時前に大天荘に到着。当初の予定は大天荘のテン場で2泊目でしたが、あまりに時間が余るので燕岳まで 行くことにします。その前に大天荘のベンチで休憩。目の前がテン場ですが、ここもとても良さげな所。 トイレも利用した長男によるととてもきれいだったとのこと、見た目も真新しく泊まりたいところです。 このコースを1泊2日で縦走するならちょうど良いのかもしれませんね。中房温泉からも一ノ沢からも 最短コース経路で8時間、気合が必要ですね。。30分ほど休憩して燕山荘に向けて出発。しばらく下りですが、 すれ違う登りの方がとても苦しそう、確かに登り返したくない坂でした。ルート唯一の鎖場とハシゴを超え、 稜線歩きが続きますが、一部東側を巻くときに木々の中へ。東側と南側で明らかに空気の湿度が異なり、 東側の方が蒸し暑く、雲東側のみ湧いていて不思議な感じ。3日間とも同様で、東側からガスが上がってくる ようでした。植物もそれに合わせて東側と西側では違っているし、面白いですね。きつい大下りノ頭までの 登り返しを登りきるとあとはそれほどアップダウンはなく燕山荘に12時過ぎに到着でした。

     燕山荘のテン場を見るも満員御礼。。1人用ならまだ何とか貼れそうでしたが、残念ながら4人用のテントを 張れる場所が有りません。燕山荘のテン場は狭いという情報だったので大天荘のテン場でというのが当初の 予定で、結局心配した通りテントが張れないため燕山荘に宿泊することにして受付。私の前に並んでいたソロの 方もテン場使えずに宿に申し込んでいました。部屋の割り振りをその場で宿の方がしていて、別館の1Fへ案内 されました。混んでいて1畳/2名で、我々は2段ベッドの上側で6人横並びと厳しい感じ。ネットや電話で事前予約 していると展望がある側の部屋になったのかもしれませんが、それもなく隣の方と「厳しいですね〜。」 「どうやって寝ます?」と相談(ボヤキ)。隣の方もテント担いで来たけど場所が無く山荘へ泊ることにした方、 同じ境遇の方が大分いたのかもしれません。燕山荘のテン場、利用するにはだいぶ早く到着しないといけない 感じですが、その場合大天荘まで行けそうな気もするので縦走組には難関の場所ですね。

     さて、何はともあれお昼ご飯を食べに食堂へ。私はチキンカレー、長男は山菜うどん(各900円)を食べましたが、 チキンカレーは山小屋クオリティーを超えていて美味しかったです。昼食後は燕岳へ。前日同様ガスに包まれて しまっていましたが涼みに出発。名物イルカ岩、自然にできたとは思えない出来ですね。めがね岩はう〜ん、 という印象でしたが。真っ白で何も見えない山頂でしばらく涼んでから山荘に戻り喫茶コーナーへ。 私は生ビール、長男はモンブラン&ネクターを頂きます。いやー、山の上とは思えない充実の喫茶コーナー、 嫁さんと来ても楽しめそうな場所でした。燕山荘には小さい子供さんも多く、北アルプスの入門編の山としての 人気も実感する場所でした。

     その後夕食までは談話室で読書。夕食は17:20の回、チーズin ハンバーグと魚でメインが2つ、ご飯とみそ汁はおかわり自由で満腹でした。テント泊の場合は前日同様に アルファ米と魚肉ソーセージの予定だったのでだいぶグレードアップしました(笑)。夕食後も狭い寝床から 避難して消灯の21時間際まで談話室で読書して過ごしました。そしてここからが一番の難関で、6人並んで 寝るのですが隣の方と触れるくらいのスペースで、200人近くが大部屋に部屋にいることもありイビキや 歯ぎしり、廊下を歩く音も否応なしに聞こえてきます。結局あまり寝られないまま一夜を過ごすことになりました。 長男の隣で寝ていたテント装備の方が12時前にはどこかへ移動されたのでスペースが広がったのが救いでは ありましたが、どうされたんだろう。。。

    第3日

     あまり寝られないまま4時半頃に山荘の外へ。山荘の展望台からは燕岳から槍ヶ岳までの大パノラマが 広がっており、日の出を待つ人で大賑わいでした。日の出は浅間山方面から上がるようでしたが、少し雲が 掛かっていたためきれいな朝焼けまでで御来光にはならず少し残念。それでも朝日に照らされる雲海や 常念山脈から槍ヶ岳にかけての山並みは素晴らしく満足でした。ちなみにこの日も長男は睡眠優先で朝の ゴールデンタイムを逃していました。まあ、しょうがないですか。5:45の回の朝食に並び朝ご飯。少し早めに 食べられました。朝食後、下山後のタクシーの予約したく山荘の受付で相談。どうやら衛星電話があるようで、 100円/分で借りて無事予約できました。スマホが故障してなければなんてことないのですが助かりました。

     そんなこんなで下山開始は6時45分、9時40分のバスに乗りたいのでコースタイムで下山してギリギリ、 若干急ぎ気味で下ります。ただ、登りも下りも人が多くて渋滞気味のため全体としてはそれほどスピードは 上がりません。山荘の若いお兄さんが、若い人だと1時間半で下ります、と言っていましたがさすがに ハイシーズンは無理でしょうね。それにしても表銀座コースの登山口だけあり、重量級の縦走装備を担いで 登っている人が多かったです。30s担いで10日間縦走します、と言っている大学の山岳部っぽい団体も。 20sで死にそうだった身からすると30sで10日間、絶対無理ですね。。そんな逞しい方々とすれ違いつつ、 整備の行き届いた歩きやすい道を下山して9時過ぎに中房温泉に無事到着。

     乗り合いバスで温泉公園北口まで戻り、予約していたタクシーに乗り換えて一ノ沢の駐車場に無事戻りました。 中房温泉から直接タクシー乗るよりは節約でき、結果的には温泉公園北口に車中泊した場合と同じ料金でしたね。 当初は3日目が大天荘から下山するので時間が掛かる見込みでしたが、燕山荘から下山となり大幅に早く下山した ので時間的にも一ノ沢登山口前泊で良かった気がします。下山後、ほりでーゆ四季の郷で汗を流し、安曇野市街の スシローで昼ご飯を食べて郡山へ。運転手の交代ができないので、途中で一度仮眠をとりつつも無事に自宅に到着。 急遽思い立って向かった常念岳〜燕岳への縦走コースで、いろいろ予定外のことも発生しましたが、 好天にも恵まれ良い山行でした。久々のテント泊装備の縦走、足は平ヶ岳の方がダメージあったものの、 軽量化したとはいえテント泊装備を背負っていた肩の方が筋肉苦痛がひどかった感じ。それ以上に山小屋での 一夜がつらく、目の前にそびえていた槍・穂高連峰にも行きたくなりましたが、山小屋のすし詰めは何とか 避けたいなと。平日休んで行かないと更なる混雑が予想されるエリアですが、目指したくなるのも分かる山並み、 しばらく頭に残りそうです。長男もそれほど辛くなかったようで、白馬の時からだいぶ成長を感じました。 次男が来てくれれば嫁さんの荷物も分担出来て長期山行できるんですが、こちらは槍・穂高に登るよりだいぶ 確率が低そうですね。。。

    2019.8.17記

    山歩き中のキャンプ場
    2019年8月11,12日 常念小屋キャンプ場

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